GEDCOM とは — 家系図データの標準形式
GEDCOM(ジェドコム、GEnealogical Data COMmunication)は、家系図データを異なるソフト間でやり取りするための国際標準形式です。1984 年に米国 LDS 教会が制定、GEDCOM 5.5.1(1999 年)がデファクトスタンダードとして普及しています。
本ガイドでは、GEDCOM の基礎・使い方・注意点を解説します。
1. なぜ GEDCOM が重要か
ツールロックインを避けるためです。家系図データを特定のソフト専用形式で保存すると、そのソフトが使えなくなった際にデータが死蔵されます。
GEDCOM は:
- MyHeritage (世界 9,300 万ユーザー)
- Ancestry (世界最大級の系図サービス)
- FamilySearch (LDS 教会運営、無料)
- Gramps (オープンソース)
- 家系図 Plus (日本の iOS アプリ)
- 家系図ずかんエディタ (本サイト)
など、世界中の家系図ソフトが対応する共通形式です。
2. GEDCOM のフォーマット
2-1. 基本構造
GEDCOM はテキスト形式で、レコードの集合です:
0 HEAD ヘッダー開始
1 SOUR Kakeizu-Zukan/1.0 作成元ソフト
1 GEDC GEDCOM 形式の宣言
2 VERS 5.5.1 バージョン
2 FORM LINEAGE-LINKED
1 CHAR UTF-8 文字コード
0 @I1@ INDI 個人レコード 1
1 NAME 織田 /信長/ 氏名(/〜/は姓)
1 SEX M 性別
1 BIRT 出生
2 DATE 1534 出生年
1 DEAT 死亡
2 DATE 1582 死亡年
0 @F1@ FAM 家族レコード 1
1 HUSB @I1@ 夫
1 WIFE @I2@ 妻
1 CHIL @I3@ 子
0 TRLR 終端
各行は「階層レベル 0-9 + タグ + 値」の構成。0 INDI は個人、0 FAM は家族、1 DATE はその個人・家族の日付、2 PLAC はその日付の場所、という入れ子構造。
2-2. 主なタグ
| タグ | 意味 |
|---|---|
INDI | 個人 |
FAM | 家族 |
NAME | 氏名 |
SEX | 性別 |
BIRT | 出生 |
DEAT | 死亡 |
DATE | 日付 |
PLAC | 場所 |
MARR | 婚姻 |
DIV | 離婚 |
HUSB | 夫 |
WIFE | 妻 |
CHIL | 子 |
FAMC | 生家(子としての家族) |
FAMS | 配偶者家族 |
NOTE | 備考 |
3. GEDCOM の使い方
3-1. エクスポート(他ソフトへ)
家系図ずかんエディタの場合:
- エディタで家系図を作成・編集
- メニュー → エクスポート → GEDCOM
.gedファイルがダウンロード- そのファイルを他ソフト(MyHeritage 等)にインポート
3-2. インポート(他ソフトから)
- 既存の家系図ソフトで
.gedエクスポート - 家系図ずかんエディタのメニュー → インポート → GEDCOM
- ファイルを選択してロード
3-3. バックアップ用途
GEDCOM は家系図データの長期保存に最適:
- テキスト形式なので数十年後も読める
- どのソフトでも読み込める
- 破損に強い(テキストエディタで修復可)
4. GEDCOM の注意点
4-1. 情報の互換性の限界
すべての情報が完全に移植できるわけではありません:
- 日本特有フィールド(家紋・戒名・本籍)は GEDCOM 標準にない
- 各ソフトの独自タグ(
_FOO)は他ソフトで読めないことが多い - 写真は GEDCOM 内に埋め込まず、別ファイルで参照するのが一般的
4-2. 文字コード
- UTF-8 が主流、古い GEDCOM は ANSEL(欧米文字のみ)
- 日本語の場合、UTF-8 か確認してから読み込む
- 文字化けしたら Shift_JIS → UTF-8 変換が必要な場合も
4-3. 日付の表記
- 西暦:
DATE 1582(通常) - 約:
DATE ABT 1582(about) - 前後:
DATE BEF 1582/DATE AFT 1582(before/after) - 範囲:
DATE BET 1580 AND 1585 - 元号: 標準 GEDCOM は西暦のみ、元号は別途 NOTE で記録
4-4. 氏名の書式
NAME 姓 /名/またはNAME given /surname/(英米系)- 姓は
/〜/で囲む、日本語姓名も同様 - 例:
NAME 織田 /信長/(織田が姓、信長が名)
5. GEDCOM 7 について
GEDCOM 7.0 (2021 年発表) は後継規格で、以下の改善:
- UTF-8 完全対応
- YAML 形式拡張
- カスタムタグの明確な扱い
- より詳細な関係表現
ただし 5.5.1 が依然デファクトで、7.0 対応ソフトは増加中(2026 年現在)。家系図ずかんは 5.5.1 対応、将来 7.0 にも対応予定。
6. 実用例
6-1. Ancestry から家系図ずかんへ移行
- Ancestry のマイページで「Tree Settings → Export Tree」
.gedファイルをダウンロード- 家系図ずかんエディタで「インポート → GEDCOM」でファイル選択
- データが復元される(日本語対応 UTF-8 の場合)
6-2. 家系図ずかんから MyHeritage へ
- 家系図ずかんエディタで GEDCOM エクスポート
- MyHeritage で「系図 → インポート」
- ファイルアップロードで完了
6-3. 印刷用 PDF に出力
GEDCOM はテキストデータ。視覚化するには:
- 家系図ずかんエディタで PDF エクスポート
- 他ソフト(Gramps 等)で読み込んで印刷
- GEDCOM 解析ソフトで可視化
7. よくある質問
Q1. どのソフトでも完全に同じに見える?
いいえ。日本特有の家紋・戒名などは失われる可能性、各ソフトの独自タグも他ソフトで読めません。ただし主要な系譜情報(氏名・生没年・親子・夫婦関係)は保持されます。
Q2. 家系図ずかん内で GEDCOM は使われている?
使われています。research/zukan/presets/*/ の JSON 形式と別に、エディタでは GEDCOM 入出力が標準機能です。
Q3. GEDCOM ファイルが読めなくなった
- 文字コード確認(UTF-8 or Shift_JIS)
- テキストエディタで中身確認(基本ルールは §2 参照)
- オンラインの GEDCOM バリデーターで構文チェック
Q4. GEDCOM より便利な形式はある?
- JSON (家系図ずかん独自形式): 読みやすく、日本特有フィールド完全保持。ただし他ソフト非対応
- GEDZip (写真込み): GEDCOM + 画像を ZIP にまとめた形式
関連する家系図(GEDCOM で扱うデータ例)
既存プリセットで GEDCOM が活きる事例:
- 徳川将軍家 — 30 人物規模、GEDCOM で出力すると構造が視覚化される
上位 Pillar
- 戸籍で辿る家系図 →
- 家紋のすべて → — GEDCOM では扱いづらい日本特有フィールド
他のガイド
出典
| # | 種類 | 出典 | 検証 |
|---|---|---|---|
| 1 | 公式 | FamilySearch「GEDCOM Standards」 https://www.familysearch.org/en/gedcom/ | ⬜ |
| 2 | Wikipedia | 「GEDCOM」 | ⬜ |
| 3 | 技術仕様 | GEDCOM 5.5.1 Specification (1999) | ⬜ |
最終更新: 2026-04-23 運営: 家系図ずかん編集部 / X @okapi_tech